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  愚者のたわごと 第17回

平成13年2月発行
 
 20世紀から21世紀へと、世紀を越えた1年目の年かと思うと、暁の輝きも心なしか一層色冴えた金色に映り、一味ちがった清新な気持ちがする元旦でした。しかし、この荘厳な大自然の姿とは裏腹に、一家皆殺しという残虐な事件が新春のニュースで告げられると、心が曇りがちで今年もまた多難か、そんな思いもしてこの1年をどう生き抜くのかと身構えているところです

 久しぶりに新春の閑暇な数日を得て、かねて読みたいと机上に積み上げていた歴史書に目を通すことができました。その1冊に橿原考古学研究所の寺沢薫先生の「王権の誕生」がありました。先生は、そこに「卑弥呼の共立によって新しく誕生した倭国の実体が、このヤマト王権であり、纒向遺跡はその王都として日本最古の都市だ」と主張されています。

 先生はかつて「ヤマト弥生社会の展開とその特質 ―初期ヤマト政権成立史の再検討―」という論文では、邪馬台国畿内(大和)説にきわめて慎重な見解を示され、先入観によって「ヤマト政権」の比定地を断定することを戒めておられました。しかし、この本では「纏向遺跡の全貌」という想像図を自ら描いて、石塚、勝山、矢塚の3古墳の東方に王宮中枢部までも描き出されています。

 今や纏向遺跡は、大方の歴史家の注目を集める邪馬台国大和説の最有力比定地として動かざるところとなった。との感を深くし、桜井市民としてはまことに心強く、邪馬台国のロマンをますます大きくふくらませた次第です。邪馬台国が桜井市に実在したことが今後確証されていくことになれば、それは桜井市の発展にとって何ものにもかえ難い歴史的由緒となることでしょう。

 昨年の暮れ、ある識者たちの会合で、邪馬台国大和説立証のカギをにぎる箸墓周辺(宮内庁の管轄区域外)を市民の力(募金など)で発掘調査を行ってはどうか、という意見が出ました。埋文センターの技師の話では、その範囲の調査費なら約5百万円程度だとのことです。あれこれ嘆いているより行動することが大切だという心強い意見です。邪馬台国の解明に市民が乗り出そうという機運が芽生えようとしているのです。

 これを思うにつけても知事の歴史文化政策が情けなく、歯がゆく思われてなりません。このほど奈良のオンブズマンが、明日香地方の歴史遺跡を破壊したうえ、毎年の運営経費が四億円の赤字を発生させる「万葉文化館」建設の不当性を挙げ、建設費百三十億円などを返還するよう求め、監査請求を行ったようだが、当然でしょう。

 万葉歌のイメージを描かせた現代画家の絵画展示を主体とする「万葉文化館」は、その芸術性がかえって万葉の本質をゆがめたり、誤った先入観を抱かせる危険性も考えられるうえ、何よりもその建設が貴重な歴史遺跡を破壊、埋没させる罪は大きい。歴史の故地は可能な限りその原形を留めて永久保存することです。

 そんなお金があるのなら、県下の埋蔵文化財の全面的な発掘調査を行い永久保存施設を作り、後世の日本人に真の歴史の姿を残すべきでしょう。21世紀の初頭にあらためて強く主張したいところです。

 
  芝 房治
(日本文化の源流
 桜井を展く会幹事長)
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