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  愚者のたわごと 第7回

平成12年5月発行
 
 前号で私は、「万葉ミュージアム」の建設を明日香に強行している知事に猛省を促した。しつこいようであるがもう一度書く。はからずもその翌日に万葉ミュージアム建設地から新たな大発見「亀石遺跡」の発表がされたからである。

 この遺跡は「酒船石」と共に、謎であった数々の飛鳥遺跡解明に一石を投じる超一級の発見である。この発見は古代史のメッカ・飛鳥と、「日本書紀」に記述された飛鳥時代の調査が、従来の点的な発掘調査から、今後は面的な発掘調査に移されて、いよいよ明らかにされる考古学、歴史学上の重要な時期を迎えたことを教えている。

 にもかかわらず、県はなお同地への万葉ミュージアム建設にこだわっている。何を好んで巨費を投じ平成画家の描いた万葉絵画をここに陳列しようとするのか、万葉美術館で観光客をここへ招かなければならないのか、私は理解に苦しむ。超一級の発掘成果を次々と見せ付けられた今、県の建設強行はとんでもない心得違いといわざるを得ない。

 斎明女帝は、国富誇示のため土木工事に励んだ。石造物、石垣、運河を造った。その運河は「狂心ノ渠」(たぶれごころのみぞ)と言われ民衆の怨嗟の的となったと、「日本書紀」に記されている。故・保田仁一郎氏は、知事の無謀に無念の思いでこの世を去られた。氏の実兄であり日本浪曼派の巨匠であった保田與重郎先生が存命なら「平成の狂心の渠」をなんと嘆かれたであろうか。建設強行の知事を「たぶれごころの知事」と弾劾し、激怒されたに違いあるまい。

 私は、万葉ミュージアム無用論を言っているのではない。明日香である必然性がないと言っているのである。建設をするのなら、最適地が桜井であるとする私の考えは変わらない。だからといって私の怒りは、明日香になったから八つ当たりしているのではない。

 明日香や桜井には未だ知られざる遺跡が、いたるところに眠っている。これらを発掘し、保存し、継承し、日本人の心の故里とし、民族の歴史と文化を世界に発信することが、明日香や桜井を行政区に持つ奈良県知事たる者の第一義の政策だと考えるからである。

 日本最古の貨幣が発見された飛鳥池、そして酒船石から亀石へ、これらの遺跡には道教の神仙思想に基づく四神が表現されており、多武峰の両槻宮の存在とも関連してくる広範な遺跡の一角であるといえる。まさに日本書紀が見えてくるかけがえのない古代遺産の埋蔵地である。 「万葉ミュージアム」建設地にも、まだ何が眠っているか判らない。今回の亀石は地下7メートルから発見された。軽々な調査で済まされるところではない。

平成のコンクリートの箱ものを建てる場所では決してない。「世界に光る奈良県づくり」をめざすなら「万葉ミュージアム」の明日香建設を断念し、早急に他へ計画変更すべきである。 県庁には、知事の「たぶれごころ」を正す、正論、直言の士はいないのであろうか。田舎の老書生の声など、ジェット機の轟音にかき消される雲雀の囀りにすぎまい。しかしあえて再び知事の猛省を促す。取り返しのつかない愚挙を戒め、文化遺跡を守るために。 (つづく)

 
  芝 房治
(日本文化の源流
 桜井を展く会幹事長)
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