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  愚者のたわごと 第6回

平成12年3月発行
 
 「日本文化の源流桜井を展く会」が、故・保田仁一郎会長を先頭に全力を挙げて「万葉ミュージアム」の誘致に努力したことは、全号で述べた通りである。 しかし一回の陳情だけでは弱いという声があり、さらに副知事、出納長、企画部長、文化課長らへ役員が打ち揃って陳情に出向いた。 だが、決定された建設地は明日香であった。用地のほとんどが県有地、村有地で用地取得が容易に行なえることが最大の決め手となったようだ。そのとき県は、その地下に第一級の古代遺跡・飛鳥池が眠っているとは想像もしていなかったのである。

 明日香保存と観光の大原則は、古代の文化遺跡をそのままの姿で発掘再現し、国民の目と心にじかに触れてもらうことである。日本最古の貨幣・富本銭をはじめ貴重な古代史料が出土した第一級遺跡を壊し、明日香に必然性を持たない「箱もの」を建てるというのは、古代文化の何たるかを知らない愚かな行為である。

 昨年桜が花盛りだった三月末に他界された故保田会長は、が温厚で、物静かで激しい言葉を吐く方ではなかったが、「知事は、古代文化と日本人の心を知らない。コンクリートで大和の古代を汚す犯罪者だ」と強く批判された。傍で私は胸の痛む思いでそれを聞いた。

 万葉ミュージアムは、当初、万葉集に関する総合的な博物館と聞いていたが、県の広報誌などで見ると、現代の画伯による万葉をテーマとした美術館が売り物であるらしい。美術館であれば貴重な遺跡を破壊してまで明日香である必要はない。むしろ人口の多い都市のほうが良いかもしれない。ちなみに飛鳥資料館、橿考研付属博物館の入館者を調べてみたら近年は低落傾向にあり、万葉ミュージアムが出来たら客足がそこへ取られ、一層入館者が減るのではと見られている。

 明日香は、一日の駆け足観光の地、万葉ミュージアムが出来れば、さらにこれに拍車がかかり駆け足から早足の観光地になりかねない。これでは飛鳥文化も泣こうというものである。飛鳥の古代文化をじっくり見てもらうには、通過観光から滞在型の観光に変えなければならない。そのためには桜井に眠る「古事記・日本書紀」に記された古代大和朝廷のドラマと、それに続く飛鳥文化を結んだ桜井・明日香観光を県も、明日香も、桜井も構想しなければならない。

 こう構想すると万葉ミュージアムは、飛鳥池遺跡を破壊してまで明日香にこだわることはない。万葉の一級の故地である桜井に万葉ミュージアムを建設し、明日香・桜井広域滞在型観光の核とすることによって地域の発展も、日本の古代歴史文化のすばらしさを輝かせることも出来るのである。

 今からでも遅くはない。県は拙速な計画推進によって百年の大計を誤ることなく、万葉ミュージアムの建設地を英断をもって明日香から撤退させ桜井に構想代えすべきである。故・保田会長の「よろしく頼む」の一言が怨念の如く今も私の胸を指す。  (つづく)

 
  芝 房治
(日本文化の源流
 桜井を展く会幹事長)
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